TOP  >  資料室  > 

指導者の心得 

文責  山  正 博

 居合道の審査の狙いは『剣道の理念』が規範する段位に相応した術理の成果を披露し、客観的合否の審判を仰ぐ場として審査が位置づけられていることを求め、自覚を促すところにある。

 術理の原点は?審判規則 ?段位審査規則 ?『全剣連居合解説書』をもって三位一体とし、更に「剣道形の定義」を十分精査理解し、その内容を武道として、居合道共通の原理原則に帰納すると判断される。

 居合道は剣道と異なり、打突の成果が現れないだけに大変難しく、人の心を打つ臨場感溢れる「形(かた)」をどのように表現すべきかがまず課題であり、一言で外見的に上手、下手だけの判断ではない。

 最近、高段位の合格率が以前に比べ低下している現象に、審査(実技・学科)が厳しくなっているのではないかという指摘が蔓延している。私見ではあるが、審査員研修項目に準拠した審査員の意識が大きく啓蒙啓発され、その結果審査の観点が質を追求する方向にあり、厳しい選択となっていると考える。

 近年、武道組織の発展に不可欠の課題として、更なる「質の向上」と「教養の啓蒙」を促し、向上心並びに倫理観のある指導者の育成に努める傾向が強い。その実情を念頭において判断すれば高段位の審査合格率の結果が云わんとするところも、大多数の受審者が居合道を「形(かたち)」としてのみ捉え、段位共通の必要条件である術理と理論の一致が備わっていない点であろう。

 その必要条件とは、解説書に基づく技術的な「形(かたち)」だけに止まらず、受審レベルに伴う究明すべき要点、上記「三原則」を熟読し解釈し、その云わんとする箇所を重点的に研鑽し、理解のもとに更に精神性を求め、併せて武道としての合理的な「形(かた)」に可変させようとする一途な心が審査員、また見る人に波動として強く伝わり、それが感動となり余韻となって重厚なる雰囲気を醸す、それが必須条件となるのではないかと思う。要するに平常の稽古における術理を深く真剣に探求する姿勢が審査の結果に結びつくものであり、長期間居合の修行を行えば合格できるなどと考えるのではなく、前述した内容を理解して方向を定めれば、自ずから精進すべき道が明確になると確信する。

 最後に我々も含め指導者の力量、真価を問われる時代となっており、また合格者もなお一層努力と精進を心がけ、心・技・体一致した武道人たるべく努力を切望したいものである。

この文書は全日本剣道連盟発行「剣窓」 平成20年2月号に掲載した文書を修正したものです。





 



(C)2004-2017

※当サイトへのリンクは自由です。特に連絡する必要等はありません。
※当サイト内で使用されている文章・画像等の著作権は無相会に帰属します。無断使用等はご遠慮ください。